親知らずって、生える人もいるのに、生えない人もいるよね。
たまに痛かったりするし、歯並びも気になる…。
親知らずは、抜いたほうがいいのかな?
抜かなくてもいいのかな?
親知らずとは、一番最後に生えてくる大臼歯のことで、
顎に、親知らずの生えるスペースがある人に生えてきます。隙あらば生えてくる歯なのです。
(逆にスペースがない人は、親知らずは生えずに埋まっているままです。)
生える人の中には、20歳前後に違和感や痛みを感じることが多いようです。(年齢は個人差がかなりあります。)
今回は「親知らず」について、気になる痛みや抜歯、
その他よくあるQ&Aについてお伝えします。
親知らずが痛くなる原因とは?
一般的に痛く感じるのは、下の奥です。
痛みの原因は3つあります。
- 親知らずが生えようとして、周りの組織を圧迫するとき
- 親知らず周囲の歯茎のばい菌によって、炎症が起こるとき
- 親知らずor手前の歯の、虫歯が進んでいるとき
では、親知らずの抜歯について、順にみていきましょう。
痛い親知らずは、抜歯するの?
1.親知らずが生えようとして、周りの組織を圧迫して痛むとき
まずは抜歯をせずに経過をみます。
どうしても落ち着かないときには、抜歯を検討します。
親知らずの位置が骨の下の深い場合は、大学病院をご紹介します。
(紹介先:東京歯科大学市川総合病院)
2.親知らず周囲の歯茎のばい菌によって、炎症が起きて痛むとき
このケースは歯周病が考えられます。
痛みが強いときは、細菌を除去する処置と、痛み止めを処方します。
痛みが落ち着いてから、歯周病治療を始めます。
親知らずの生え方や大きさによって、
歯周病治療の妨げになる場合は、親知らずを抜歯することがあります。
スケーラーという器具が入るスペースがないと、歯周病治療ができないためです。
歯周病治療に差し支える親知らずなら、抜歯を検討します。
3.親知らずor手前の歯の虫歯が、進んで痛いとき
以下の場合に、親知らずの抜歯を検討します。
→親知らずの虫歯が、重症なとき
→親知らずの手前の虫歯で、親知らずが邪魔で治療が難しいとき
予防歯科を始めましょう。
抜歯後の副作用
- 1週間くらい頬が腫れたり、お口が開きづらくなったりします。
- 唇や顎の表皮に、痺れが残ったりすることがあります。
- 抜歯後のばい菌の感染が稀に起きると、腫れて痛みます。(→抗生剤を服用して頂きます。)
全く痛みも腫れもない方もいれば、2~3日をピークに徐々に痛みが落ち着く方もいます。
抜歯後の食事や過ごし方も大切です。
食事などの注意事項をお伝えします。
よくある親知らずQ&A
Q1)完全に生えている親知らずを、痛くなる前に、予防的に抜歯してもいいですか?
A)予防歯科の歯みがき指導で経過観察していれば、抜歯する必要はありません。(コクランライブラリー参照)
Q2)親知らずに虫歯が出来た場合、親知らずの神経をとる治療は有効ですか?
A)親知らず手前の歯の状態によります。
手前の歯が健康である場合は、親知らずの抜歯をおすすめします。
Q3)親知らずにブリッジの治療は可能ですか?
A)可能です。また、部分義歯の場合には、義歯の支えにもなります。
Q4)身体が疲れてくると、親知らずが痛くなります。抜いたほうがいいですか?
A)歯茎が腫れていることが多いので、歯と歯ぐきの境目を消毒すると、痛みは落ち着く場合があります。
→痛みが落ち着く場合は、抜かずに経過観察します。
→痛みが続く場合や、繰り返し痛むときは、抜歯をおすすめします。
Q5)親知らずの残存は矯正、歯並びに影響するのですか?
A)影響ありません。
矯正のため、と言って抜歯する歯医者もいますが、抜歯は必要ありません。(コクランライブラリー参照)
Q6)親知らずを片側だけ抜歯したら、顎の形は左右で変わりますか?
A)変わりません。遺伝的に、顎の形はあらかじめ決まっているためです。
Q7)抜歯の所要時間はどのくらいですか?
A)難易度により、10分~1時間くらいです。
Q8)親知らずの抜歯が難しいのは、どのような場合ですか?
A)①お口が大きく開かない
→大きく開かないと、抜歯の器具類が入りづらいためです。
②親知らずが横向きに生えている
③親知らずの根の形状が複雑な場合(フックのような形で尖端が曲がっていて、顎の骨に引っかかっている)
④親知らずが大きい
→②~④:歯・骨を削る外科処置が必要なためです。
※削っても、骨は再生します。
歯科大国スウェーデンでは、口腔外科手術レベルの環境で抜歯治療を行います。
当院も同様に、滅菌レベルで抜歯します。